昨日の夜は、嵐だった。
ここに来て、はじめて、雨が音をたてて降るのを、聞いた。なに?とかって思う、最初の数十秒。ああ、雨。そのまま、窓のところに立って見ていた、閃光、少しして、鈍い破裂音。そうだ、雷って、こういうふうだ。木が濡れて、揺れていた。
今朝は、高く高く晴れて、空が青い。青くて、遠い。水をのぞいているみたいだ。底は見えなくて、ただ青い。
大事な友達に、大切な用件の(でも日常の生活には何の役にも立たない種類の)手紙を書いて、彼女に伝えたいことを目の奥が痛くなるくらいに力いっぱい思っていたら、私が、へんなことを言った。それに対して、私が、怯む。
きれいなものの話。
きれいなものは、ほんとうには、人間の意識の中に存在していて、ぎゅうっと突き詰めるその意思と、目が、見せてくれるのだと思う。そう信じるのは、それを、知っているから。呼吸を忘れるくらいのうつくしさ。どろどろに溶けた自分の痛みと一緒に、焼き付けるしるしみたいに、ほら、こんなに鮮やかに残っている。その痛みが、何よりもおそろしいくせに、あのためだったら、なんだってするとか、思っている。代償が、要るの。正気なんかを、あっさり売り払えば、いいのかもしれない、と出た言葉が、あまりにも甘くて薄っぺらな音で、 どうしようもなくて、戸惑う。
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